開脚は野球のパフォーマンスを上げるのか?
「開脚が柔らかいほうが野球が上手くなる」
そんな言葉を聞いたことがある人は多いと思います。
たしかに、股関節が硬い選手ほど体の回転がスムーズに出ず、
投球や打撃の安定性に影響することは経験的によく知られています。
しかし、実際の研究データでは何がわかっているのか?
海外スポーツ医学の主要研究をもとに、
股関節可動域と野球パフォーマンスの関係を整理して紹介します。
1. 投手は股関節の回旋可動域と密接に関係している
米国スポーツ医学誌発表の研究では、
投手は投球側(トレイル脚)の股関節内旋(IR)が低い傾向にあることが示されています。
股関節の内旋は
- 骨盤の回旋
- 体幹の捻り戻し
- リリース時の方向性
などに深く関わるため、IRが硬いとフォームに制限が出やすい可能性が指摘されています。
▶ 結論:股関節の回旋可動域は、投球動作の正確性と効率性に影響する。
2. シーズン中に股関節の性能は低下するという報告
大学投手を対象とした別の研究では、
シーズンを通して 外旋(ER)・総回旋可動域、股関節外転筋力が有意に低下 したと報告されています。
これは、
- 投球数
- 下半身の疲労
- 回復の遅れ
- 同じ動作の繰り返しによる偏り
などの積み重ねによって起こる現象と考えられます。
▶ 結論:シーズン中の股関節機能の低下は珍しくない。定期的なケアやトレーニングが必要となる。
3. 開脚(柔軟性)だけでは球速は上がらない?
興味深い研究として、
球速と関連が強かったのは股関節周囲の筋力であり、可動域(柔軟性)だけではなかった
という報告があります。
つまり、柔らかい股関節だけよりも、力を発揮できる股関節、
体幹との連動性のほうが球速や打球速度に直結する可能性が高いということです。
▶ 結論:柔軟性 × 筋力 × 連動性
この3つが揃ったときにパフォーマンスが最大化される。
股関節が野球パフォーマンスに影響する理由
研究結果を総合すると、股関節が野球に大きく影響する理由は以下に整理できます。
● 骨盤・体幹の回旋の起点となる
投球・打撃において股関節はパワーの伝達源。
● 左右の役割が異なり、どちらも重要
トレイル脚(後脚)=回旋の準備・ため
リード脚(前脚)=軸の固定・力の受け止め
両方のバランスが崩れるとフォームが乱れる。
● 柔軟性と筋力、両方が必要
可動域があっても使えていなければ意味がなく、逆に筋力があっても可動域が不足していれば回旋が制限される。
まとめ:開脚そのものよりも使える股関節が鍵になる
海外研究の多くは、
「柔軟性が全てではない」
「筋力や連動性の要素を組み合わせることが重要」
という共通した結論を示しています。
✔ 開脚は役に立つが、それだけでは不十分
✔ 回旋可動域(IR/ER)は投球・打撃と強く関連
✔ 股関節周囲の筋力は球速と関連
✔ シーズン中は股関節機能が低下する
野球において股関節は、パフォーマンスを左右する要となる部位。
開脚やストレッチだけに偏らず、可動域・筋力・連動性の三位一体で捉えることが、動作改善の近道になります。
