研究の目的:
高校野球投手のローテーターカフ(回旋筋腱板)の筋力を調査し、
健常な選手の基準値を確立すること。
対象:
165名の高校野球投手
(平均年齢16歳、平均ピッチング経験7年)
測定方法:
手持ちのダイナモメーターを使用し、
肩の内旋(IR)・外旋(ER)の筋力を測定。
主な結果:
・投球側と非投球側で筋力差がある
・投球側は外旋筋力が低く、内旋筋力が高い
・ER/IR比率(外旋と内旋の筋力バランス)は投球側で低くなる傾向
・年齢や投球経験と筋力の関連は限定的
・年齢が上がるにつれ外旋筋力はわずかに増加するが、影響は小さい
・投球経験年数は筋力に大きな影響を与えなかった
考察:
投球動作の影響:
投球時、内旋筋は加速動作で強化される一方、外旋筋は減速動作で酷使されるため、バランスが崩れやすい。
怪我のリスク:
ER/IR比率の低下は肩関節の安定性に影響し、将来的な怪我のリスクを高める可能性がある。
自分の考え:
この研究は高校野球投手の「正常な」筋力の基準値を明らかにし、
トレーニングや怪我予防に活かせる点で非常に価値があります。
特に、投球側の外旋筋力が低下しやすいことが明確に示されたことは重要です。
これまで、プロや大学レベルの投手では 「投球肩は非投球肩よりも筋力が偏る」 ことが指摘されてきましたが、
高校生レベルでもすでにその傾向が見られるのは興味深い点です。
私自身、理学療法士として肩の障害に関わる機会が多いですが、
やはり肩の安定性には外旋筋力が重要であり、
野球投手にとっても外旋筋の強化が怪我予防に直結することを再認識しました。
補足情報:
◎ 投手が取り入れるべきトレーニング
- 外旋筋の強化
チューブトレーニング(肩外旋)
エキセントリック(伸張性収縮)トレーニング - ER/IRバランスの改善
インナーマッスルの強化
プライオメトリックトレーニング(肩の安定性を高める)
適切な投球フォームの習得 - 投球後のケア
軽いストレッチやリカバリートレーニング
まとめ:
この研究から、
高校生投手の肩の筋力には特徴的な傾向があり、
特に外旋筋力の低下が課題であることが明らかになりました。
トレーニングやコンディショニングにおいて外旋筋の強化やER/IR比率の改善を意識することが、
肩の健康維持とパフォーマンス向上につながるでしょう。
今後はより長期間のデータを蓄積し、
「どのようなトレーニングが最も効果的なのか?」という点についても研究が進むことを期待したいところです。